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【2010Book 09】 柳広司 「ダブル・ジョーカー」

先日読んだ「ジョーカー・ゲーム」があまりにも面白かったので、続編となる「ダブル・ジョーカー」を読む。

前作を読んでも思ったことだが、本作”このミステリーが凄い!”にランクインしているが、なぜ、この作品がミステリー扱いされているのかがよく分からない。
強いて、ジャンルを特定するとするなら、”スパイ・サスペンス”とすべきではないかと思う。
東野圭吾のようなミステリーを期待している人にはおすすめできない。
どちらかというと「007」シリーズですらも取り上げられないスパイの真実に限りなく近づいた、硬派な物語といってよい。

この作品が素晴らしいと思うのは、短編で構成されていることだ。本書の「ダブル・ジョーカー」というタイトルも短編のいちタイトルに過ぎない。
今回収録されている短編の中で、僕は特に”棺”が気に入っている。
昔、ゴルゴ13を読んで感嘆したことがある。
それは、ゴルゴ13が最後のひとコマしか登場しないにも関わらず、ゴルゴ13に怯える人々によってストーリーが成り立ち、完成してしまったからである。
長く続いており、マンネリを避けるためとはいえ、このストーリーのギミックはすごいと思った。

この短編”棺”はまさにそんなストーリーのギミックが用いられている。
物語の中心となる人物が事故死することからこも物語は始まる。単なる事故死として処理をしようとしていたナチスの高官が、その人物の持ち物に不自然さを感じ、徹底した調査が始まる。
そう、このナチス高官も事故死した日本軍のスパイと同じ嗅覚を持つ、生まれながらスパイ。
遺留品と相手の身元から彼は日本軍のスパイであると確信し、その事故死を餌として、日本軍最強のスパイ・結城中佐の出現を待つ。高度な頭脳戦の戦いが、中心人物となるはずだったひとりのスパイの死から始まる。
しかし、結局は結城中佐は現れることなく、この物語は終始、ナチス高官の視点で描かれる。
そこが、この作品に重厚感を与え、独特の雰囲気を作っている非常に重要な部分であると読み終わり、気付かされる。

現在、この著者の「トーキョー・プリズン」を読み進めている。
こちらは短編ではないため、じっくりと当時の東京の様子などが描写されている。これも非常に面白い。
しかし、このジョーカーシリーズは短編の集まりのため、そういった歴史背景や当時の描写についてページが割かれているわけではない。
しかし、大戦に入る前の日本の狂った熱量を十分に感じることができる。著者は、相当にこの時代に精通していることがうかがい知れる。そういった混迷な時代を、少ないページ数で読者にきちんと雰囲気を伝える技量。
その点だけをとっても、本書は素晴らしい作品だと思う。

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