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【2011Book 16】 伊藤計劃 ”虐殺器官”

伊藤計劃氏は、メタルギアの小島監督のラジオにも出演しており、以前から知っていた。
小島監督が氏を絶賛することに多少の嫉妬を覚えながら、なかなか読めないでいた
氏の処女作”虐殺器官”をついに読むことができた。


感想は、誇張でもなく、これは天才にしか書けないと思う。

情緒に訴えかける純文学的な要素と戦争小説のようなリアリティ性を追求する要素が
同居することはなかなか難しいと考える。
前者は読書の心の琴線に触れようと詩的な表現をとり、後者はリアリティを追及するため、
理性を刺激するためのディテールの描写に重きを置くからだ。
しかし、この作品はそのどちらの要素も内包するという珍しい作品。
それが、天才でなければ書けないといった理由である。
宮部みゆき氏が帯に”私には3回生まれ変わってもこんなにすごいものは書けない。”と
書いているが、それは真実なのだろうと思う。素人からみても、なかなか書けるものではないと
思う。



物語は男性向き。暗殺部隊に所属する主人公の物語であり、グロテスクな死体の描写など
過激な表現も続く。 
しかし、冒頭読み始めたときは、村上春樹氏のようで、一瞬「うっ!」となった。
村上氏は確かに文学として素晴らしい作品を書かれる方だと思うが、僕自身はよく理解できない。
正直、苦手である。
感じればいいと言われても、「感じるって何よ?」と思ってしまう。
この小説もその類なのかと思っていたら、そんなことはなく、事態は突然、将軍暗殺ミッションを
受けた主人公へと変わり、一気に現実社会に引き戻される。

SF的要素はメタルギアシリーズをプレイしていれば、何も目新しいことはない。
ナノマシンや人口筋肉などは、メタルギアシリーズにも登場する。
(おそらく、アメリカのSF作品に何かしら原案があるのであろう)
それは、残念という意味ではなく、すんなりと作品に入ることができるという意味であり、
SF作品としてのクオリティ面でも、僕の中に大きな感慨を呼んだ。

しかし、冒頭にも書いたとおり、本当に情緒面と物語のディテールを詰めたリアリティ感の
同居が素晴らしい。
主人公が暗殺という異常環境の中で抱く感情。それは繊細で、はかなく、だからこそ
周りに理解されることはない。作品全体を覆うこの寂しさがなんとも言えないのだ。

久しぶりに心に”ずしっ”と残る重量感のある小説に出会えた。
氏が、既にこの世にいないことが残念でならない。 
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